息を呑む繊細美 切り絵アート展-福岡県立美術館|6月3日(日)まで

福岡県立美術館で開催中の「息を呑む繊細美 切り絵アート展」を観ました。

「切り絵」の概念が変わる作品がずらりと並んでいました。

日本を代表する切り絵作家11名の作品110点は、圧巻の一言。

これまで、私には、「切り絵=切り紙」というイメージだったのだと思います。

それと、幼い頃にNHKの放送で見ていた「影絵」のイメージ。

だから、平面的で、色合いとしては白黒の単色だという先入観。

それが、ここまでのアート作品になっているとは、ただただ驚きの連続でした。

蒼山日菜さんの精密な作品。

柳沢京子さんの、郷里・信州長野への愛情が感じられる作品には、蛍の明かりが加えられています。

林 敬三さんの技法には、思わず“ため息”が出ました。

何十枚も重ねた色紙の層を彫り込むことで、奥行きと微妙な色合いのグラデーションが表現されていました。

関口コオさんが作り上げた、美しい女性には見とれてしまいました。

酒井敦美さんの光を使った技法、「作品の表と裏から光を当て、2つの世界を展開する」には、

どこからそのような発想が生まれたのかと驚嘆。

「一画二驚」とは、よくいったものだと感心しました。

その他すべての方が、独自の世界観をもった作風を作り上げていました。

私が惹かれた作品は、

辰巳雅幸さんの《羅漢さん》、《キツネの嫁入り》、

柳沢京子さんの《湯けむり籠》

酒井敦美さんの《変わらないもの》、《涙の粒》、《空窓~くうそう~》・・・。


部屋に飾って眺めていたいのは、辰巳雅章さんの《羅漢さん》でしょうか。

77人の表情豊かな羅漢さんは、童心に帰っていつまでも飽きずに眺めていられそうです。

会場出口のショップには、残念ながら《羅漢さん》の絵はがきはありませんでした。

私が購入したのは、酒井敦美さんの《空窓~くうそう~》のアートフレーム。

昼は太陽の陽差しで、夜は部屋の灯りで変化し、窓辺で時の変化を教えてくれています。

定義や技法が確立されていないという「切り絵」というジャンル。

会場には、その世界に、独自の技法で挑戦しようとしている出品者の火花が散っているような気がしました。

日本には「和紙」という文化があり、カラフルな紙が手に入る環境は世界的に見ても日本が抜きん出ているとのこと。

技法的にも、もしかすると日本人に向いているのかもしれません。

挑戦者ともいえる作家の方々の試行錯誤が、いつか実を結び、ひとつの芸術の分野として確立されたとき、これらの方々は、「切り絵」の先駆者として名を残すのでしょう。

今展覧会は、切り絵専門の美術館である「富士川・切り絵の森美術館」(山梨県身延町)の協力のもと開催されたとのこと。

山梨県身延町にあるという「富士川・切り絵の森美術館」、ぜひ行ってみたくなりました。

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息を呑む繊細美 切り絵アート展

【会期】   2018年4月20日(金)~6月3日(日)

【会場】   福岡県立美術館

【休館日】  月曜日 *ただし4月30日(月・休)及び5月1日(火)は開館

【開館時間】 10:00~18:00(入場は17:30まで )

【観覧料】  一般1,200円(1,000円)、高大生800円(600円)、小中生500円(300円)

       *( )内は20名以上の団体料金及び前売料金

       *小学生未満は入場無料(ただし保護者同伴)

       *65歳以上は一般前売・団体料金

出品作家は、

蒼山日菜、井出文蔵、関口コオ、辰巳雅章、筑紫ゆうな、倪 瑞良、林 敬三百鬼丸福井利佐柳沢京子酒井敦美

(敬省略)

◆福岡県立美術館

http://fukuoka-kenbi.jp/

◆富士川・切り絵の森美術館

http://www.kirienomori.jp/modules/art_museum/index.php?content_id=1

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ふくおかサポートねっと編集部 http://www.fukuoka-support.net/